マツケンの記録部屋

教育に関して。

学びの「多様化」を考える①

これから数回の投稿で、2016.12.7に参議院本会議において可決となった、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(以下、 名称変更前の法案名「多様な教育機会確保法」から「多様法」とする)に基づいて、学びの「多様化」について考えていたことを記していく。

今回は「多様法」とはどんなものかのおさらい。

まずは、⑴議案情報・議案要旨⑵成立法案を見てみよう。
→⑴http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/192/meisai/m19205190034.htm
→⑵http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/192/pdf/s051900341920.pdf

つまり「多様法」とは、〈全ての児童生徒の豊かな学校生活、安心の上での教育の確保と、不登校・夜間中学・その他普通教育に相当する教育の機会の確保等を目的とし、これに関する施策を総合的に推進しようとする法律〉であると伺える。

では次に、「多様法」の始まりを見ていこう。
→⑶http://news.tokyoshure.jp/s/article/167194518.html
→⑷http://freeschoolnetwork.jp/file/1020_shiryou_enlarged.pdf(p38〜p43)
参照した⑶は「多様法」の呼びかけ団体NPO法人フリースクール全国ネットワーク代表理事 奥地圭子さんによる、「どんな法案か」の説明。
⑷は「多様法」に関しての取り組みの経緯。

これらを見てみると、⑴・⑵に明記されていなかった、普通教育に相当する教育の機会の対象は、

フリースクール・フリースペース・居場所・自主夜間中・自宅・オールタナティブスクール・外国人学校など、これまで決して公的に、正規に認められることのなかった場で育つことを認め、社会的に応援するよ、ということは、これまで全く考えられてこなかったこと。

なぜなら…(不登校児童生徒の中で、フリースクール等を居場所とする子どもも大多数いるため、不登校も包括してはいるものの)不登校をメインに考えられている、というよりも、フリースクール等の学校教育法第1条校に規定されている以外での学びの在り方、子ども1人ひとりの教育の機会を保証しようとすることから、「多様法」が始まっていったからだろう。

なんせ現実には、義務教育は無償という法的な保証でさえも守られていないという問題、つまり、

これまで「義務教育は無償とする」と憲法にあっても、子どもがフリースクールに通うには、親は税金を払って学校教育を支えつつ、フリースクールには別途会費を払うという二重払い

という問題もある(しかも高額なところが多い…)。先に不登校も包括していると記したのは、義務教育段階の全ての子どもたちの教育は保証されなければならない、にも関わらず、学校に行けなくなった子ども達が、他に教育を受ける機会がないことは即ち、子どもたちの教育は保証され得ていないと言えるだろう。

 

とは言っても、⑴・⑵においては、不登校にウェイトが掛かっているようにも思える…。

現に「多様法」の採決に即して付された付帯決議(28 文科初第1271号 2016.12.22)も、「不登校児童生徒」への配慮事項である。

 

「多様法」を巡っては、不登校に関連した批判が多い。確かに、フリースクール等の「学校化」や、「通学偏重」、子ども達の居場所への侵害等は考え得る事項だろう。

 

自身も不登校に関しても考えてみた。

ただ、「多様法」に関しては、まずフリースクール等の多様な学びの場を保証するという点と、不登校に関する点の2点が混在している事実がある。さらに、「多様法」が「国連子どもの権利条約に則って」を目的条項として入れ、「年齢または国籍等に関わることなく」として、全ての子ども達の学びを保証することをスタートとしてきたように、全ての子ども達にとってのこれからの教育のより良さを考えたい。

 

こうしたことから、次回は、全ての子ども達にとっての学びを保証するために、学びの「多様化」が考えられる訳だが、「多様化」とはどうあれば良いと言い得るのか、考えてみたいと思う。